Webコラム

日々の雑感 258:
飯舘村の新小学校での入学式

2012年4月18日(水)

 4月6日、飯舘村の隣、川俣町に新設された飯舘村の合同小学校校舎(プレハブ)で入学式が行われた。村には、草野小学校、飯樋小学校、臼石小学校の3校があり、かつては100人を越える入学生がいたが、この日は24人。「少ない」と思う人が多いだろうが、私にはむしろ意外なほど多かった。というのは、3月に福島市内のアパートの避難している飯舘村出身の若いお母さんたちに話しを訊いたとき、全員が小学生の子どもたちを福島市内の学校に転校させることを考えていると答えたからだ。母親たちは、「市内から1時間もかけてバスで通わせなければいけない。そのため早朝に子どもたちを無理やり起こし、朝食を口に押し込むように食べさせる。子どもにとっては辛い毎日だろうし、『早く起きなさい、早く食べなさい』と毎日、口うるさく叱り続ける自分が嫌になってきて辛い」と涙ながらに語った。「飯舘村に近く、線量も低くないはずの川俣町の学校になぜわざわざ通わせなければならないのか」と疑問を吐露する母親もいた。そんな母親たちの声を訊いていたから、私は新しい川俣町の小学校に入学してくる子はほとんどいないのではないかと予想していた。だから、24人という数にむしろ驚いたのだ。

 3月に「早朝から起こされる子どもたちがかわいそうで」と涙を流していたSさんの姿もあった。あの時、新小学生となる息子を福島市内の学校に入学させることを考えていると語っていたが、結局、飯舘村の小学校に通わせることにしたのだ。
 「正直、まだ迷っています」とKさんは入学式の後に私に語った。「幼稚園の友達と一緒の学校がいいのかと思って。それに2人のお姉ちゃんたちもこの学校に通っていますから。お姉ちゃんたちは友達と離れたくないから、転校するのは嫌だと言うんです。まずこの1年、この学校に通わせてみて様子を見ようと思っています」

 昨年4月20日、大震災のために通常より2週間も遅れて飯舘村中学校体育館で、幼稚園、小学校、中学校の合同入学式が行われた。合同ということもあり、人数も100人を越えていたが、今回は24人。式場は、新入生よりもむしろ、教育長、村長、村会議員ら来賓や、草野、飯樋、臼石の3校の教職員の数のほうがはるかに多い。新入生の30代か40代の若い親たちも両親揃ってスーツや着物で正装して出席した。不安を抱えながら、迷いながらの選択だったに違いないが、親たちは新入生の両脇に設けられた保護者席から、子どもたちの晴れ姿をじっと見守っていた。

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