Webコラム

リーディング(朗読劇)
『ガザで起こった本当のこと─ガザ攻撃 加害兵士と被害住民の証言─』
関係者のみなさまへの手紙

2010年3月2日

2月25日の文京シビックホールでの「ガザ攻撃1周年追悼・報道規制を訴える集会・ガザで起こった“本当のこと”〜『沈黙を破る』・兵士が語るガザ攻撃〜」には、たくさんの方々に参加していただきました。参加してくださったみなさま、また企画に協力していただいたみなさまに感謝申し上げます。

以下は、そのイベントで上演されたリーディング(朗読劇)『ガザで起こった“本当のこと” ─ガザ攻撃 加害兵士と被害住民の証言─』の関係者の方々に宛てて書いた手紙です。

石田恭子 様/伊藤伸太朗 様/岩崎純子 様/円城寺あや 様/篠原久美子 様/多賀健祐 様/高橋長英 様/高見靖二 様/田根楽子 様/友寄有司 様/中山マリ 様/楢原拓 様/西山水木 様/根岸李衣 様/松村武 様/安井順平 様/若松力 様/渡辺えり 様(五十音順)ほか、スタッフ・関係者のみなさま

 2月25日のリーディング(朗読劇)『ガザで起こった“本当のこと” ─ガザ攻撃 加害兵士と被害住民の証言─』の台本を仕上げ、演出し、演じてくださったみなさんに、私の気持ちをお伝えてしたくてお便りしています。

 この劇の素材となった被害の証言は、2009年1月、ガザ攻撃の直後から3週間、現地で、被害を受けたパレスチナ人の方々を私が取材して集めた証言で、すでに公開した岩波ブックレット『ガザの悲劇は終わっていない』からの抜粋です。
 また加害証言は、元イスラエル軍将兵たちのグループ「沈黙を破る」が、ガザ攻撃に参加した現役と予備役の兵士たちの証言を収集し、2009年7月に公表した証言集からの抜粋です。「沈黙を破る」のグループは、証言集の日本語訳を、ドキュメンタリー映画を制作した私に託しました。出版の道を模索しましたが、「ガザ攻撃」「パレスチナ」への関心が薄れた今、「売れない」という出版社の判断で実現できませんでした。
 ですから、今回の朗読劇は、その加害証言を日本で初めて公開する機会となりました。

 本番前のみなさんのリハーサルを、私は部屋の片隅で拝見していました。そして、みなさんの真剣な練習光景に、私は圧倒されました。
 たしかにそこで語られている言葉は、私自身が文字にした言葉です。しかし、私の目の前で起こっているのは、その言葉に、俳優のみなさんによって“命”が吹き込まれていく現場でした。
 その場で私の目の前に浮かんできたのは、言いようもない悲しみをこらえて、絞り出すように私に語ったあのパレスチナ人の被害者の方々の顔とそのときの表情でした。私は彼らに、心の中でこう語りかけていました。
 「ほら、あなたの声は、今、日本で、こんなふうに“命”を吹きこまれて、伝えられているんですよ……」
 そう語りかけながら、私はずっと泣いていました。

 プロの劇作家、演出家、俳優さんたちの“力”に、私は今回ほど圧倒され、感動したことはありませんでした。
 私は今、みなさんに、私の感謝の気持ちをどう表現していいかわかりません。この気持ちをぴったりと言い当てる言葉がみつからないことが、もどかしくてなりません。だから月並な言葉になってしまいます。

 ほんとうにありがとうございました。
 心からお礼を申し上げます。

 それは私自身の気持ちであると同時に、証言してくれたあの被害者の方々のお気持ちでもあるはずです。

 この素晴らしい朗読劇を、あの観客席で、私に証言してくれたパレスチ人の被害者の人たちに見てほしかった。そして自分が血がにじみでる思いで語った言葉が、このように“命”の息を吹き込まれ、日本で伝えられていることを知ってほしかった──

参加者の感想より

この朗読劇を観てくださったお客さんの感想をお伝えします。

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